本日から『チェンジ ザ ワールド』という長編小説を配信していこうと思います。
この小説は、核戦争の危機を孕んだパキスタンで起こった米国大使館占拠事件を、「日本の普通の中学生」、「映像制作会社勤務のディレクタ」、「外資系製薬会社の老研究員」、「パキスタン在住中古車ブローカー」、「パキスタン特殊部隊SSG小隊隊長」という複数の視点から描いています。


この小説を描こうと思った動機は、もう10数年前のことですが、中東やアフリカなどで起こり続けている内戦やテロについて、無関心でいてはならないというものがありました。また、戦争やそれが招く巨大な不幸に、手も足も出ずいち個人として無力感を覚えていました。
その気持は現在も強いですが、戦争や内戦に至らずとも、執筆中から考慮すると日本経済の展望が相当悪化しています。国内の貧困化が進行し、国民感情はより内向きになり、10年前よりも隣人や隣国に寄り添う気持ちの余裕がなくなって来ているという実感があります。
拡大自殺が頻発する世の中で、諦めテロ(拡大自殺のことであり、死刑にして欲しかった、自分は死ぬつもりで無差別にひとを殺そうと思ったという、言葉の定義は非常に難しいですが、極めて怖ろしい自殺のことです)が頻発し、心を痛めて引きこもりになった中学生「ヨウ」が「もし僕が世界をフェアリーテールに変えられるのなら……」と世界に問いかけたところから物語が始まります。先述した年齢も国籍も社会的立場も異なる人々が、無力感を覚えつつ、それでも「なんとかしたい」という思いがあり、それが複雑に相互作用し、世界を変えていく、『チャンジ ザ ワールド』な小説です。

少々長い小説ですが、マガジンを作成いたしましたので、読んでいただけると幸甚でございます。